自分は無価値だと言う人がいるが、本当は価値があるのを認めている。
認めているからこそ、
「馬鹿にされる」「無視される」「罵倒される」「否定される」「拒否される」「理解されない」
こういう無価値を感じさせられる言葉や行為に対して怒りを覚える。
本当に価値がなかったら、怒りの感情は出ないはず。
つまり、自尊心が全くない人などいない。自尊心があるのは、その分だけ自分に価値があると認めている証拠である。
こんな僕でも、自分が全てにおいて無価値だと思ったことは一度もない。
結婚願望がある人、または結婚した人は、結婚するだけの価値を自分に認めているから、結婚したいと思えるし、結婚に踏み切れた。愛される価値があると思えるからこそ、それが望める。
僕が未婚なのはまさにそこが問題だった。
相手目線で、自分にはその価値はないだろうと推測して、30年間その考えを固持してきた。相手に確かめたこともなかったが、複数の要素により最初から無理だと諦めてた。
しかし、この考えがどうでもいいと思えるようになってきた。時すでに遅いが…。
自分に価値があるかどうかなど幻想に過ぎないことに気づいた。
今まで意味が分からなかったが、「手放す」って、もしかしたら、どうでもよくなることなのかもしれない。
(50歳未婚率:男性23.4%、女性14.1% 2015年国勢調査)
【日本人は自己肯定感がダントツに低い】
「人間の価値」で検索してみたところ、こんな2つのデータを見つけた。
【その1】
内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」(2013年実施)
(調査対象:13~29歳までの男女)
「自分自身に満足している」
日本45.8%、韓国71.5%、アメリカ86.0%、イギリス83.1%、ドイツ80.9%、フランス82.7%、スウェーデン74.4%
「そう思う」「どちらかといえばそう思う」「どちらかといえばそう思わない」「そう思わない」の4段階のうち、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合
【その2】
「高校生の心と体の健康に関する意識調査-日本・米国・中国・韓国の比較-」(2017年実施)
http://www.niye.go.jp/kanri/upload/editor/126/File/gaiyou.pdf
「私は価値のある人間だと思う」
日本44.9%、アメリカ83.8%、中国80.2%、韓国83.7%
「そうだ」「まあそうだ」「あまりそうではない」「そうではない」の4段階にうち、「そうだ」「まあそうだ」と回答した割合
以上2つの調査結果の考察として、社会背景、学校教育、国民性の視点で考えてみる。
まず、社会背景として、リーマンショック以来続く不況、30年前とは様相が変わった雇用システム(法改正による派遣雇用をはじめとした非正規雇用の増大)により、将来に不安や不満を感じ、自信が持ちづらくなっている。
次に、学校教育において、1970年代から続く偏差値至上主義による相対評価によって、常に他人と比較されること、将来を大きく左右する大学受験が一発勝負のため、それまでのプロセスや人物が評価されないこと等による自尊感情への影響が考えられる。
(勝ち組・負け組という言葉の流行)
さらに、日本の国民性は自己主張をよしとせず、謙遜するのが美徳とされることが、諸外国と数字に開きがある要因だと考えられる。
後者の調査については2010年にも実施されており、その時より今回の方が数字が良くなっている。7年間で国民性に変化があったとは考えられないし、社会背景も同様である。
しかし、学校教育については、少子化により誰でも大学に入れる「大学全入時代」が到来し、学力に左右されないAO入試が拡充された。
それにも関係した偏差値だけではない戦略的キャリア形成に力を入れるようになり、学力の低い学生への進学のサポートが充実してきたことによる自尊感情の向上が、プラス材料になっているのではないかと考える。
とはいえ、依然として、諸外国との差が顕著であることに変わりはない。
日本人は自分を過小評価する傾向が強い。