住民が主体の福祉のまちづくりとはどういうものかについて、2007年4月に書いたレポートの一部を省略したものを掲載します。
テキストは中央法規出版の『地域福祉論』です。
「住民が主体の福祉のまちづくり」とはいかなるものか。身近な事例を示し述べる。
2000年、地方分権一括法施行に伴い、地方自治法が改正された。これにより、地方分権が進み、地方公共団体の自己決定権、自己責任が拡大すると同時に、住民の自己決定を実現するために、より広範囲で多様な住民参加、民間活動との連携、協力が求められた。
さらに、同年成立の社会福祉法は、その趣旨に地域福祉の推進と地域福祉計画を取り上げている。地域住民を主体として認識し、住民参加による地域の実情を基礎とした総合的計画の重要性を法的に認めたのである。
地域福祉計画とは、在宅福祉サービスを軸とし、高齢者や障害者の地域自立生活支援を行う事である。
具体的には、提供するサービスの内容の検討と、それが財源的に可能かを見通した計画づくり、在宅福祉サービスの水準、総量、提供方法などを明らかにした計画づくり、特に重要な市町村の保健、医療、福祉のトータルケアシステムを考えた計画づくりなどがある。
さらに、計画づくりは障害者、高齢者の自己実現サービスが含まれている事、住民のインフォーマルケア、福祉教育、利用者の組織化などを明らかにし、地域住民の意識やまちづくりへの関わり方も視野に入れる必要がある。
私の住む〇〇県〇〇市では、「生涯教育推進プラン」において、生涯学習を市民主体、自己の充実、まちづくりの3点にポイントを置き、地域社会に参加し、活動する事により、よい人間関係を形成し、住みよいまちを築いていく事にも重要な役割を果たすとし、福祉のまちづくりは小学校区単位で行われている。
年20回開催されている「いきいきサロン」では、足腰が不自由で会場まで歩けない人には車での送迎を行い、認知症傾向にあり、閉じこもりがちな高齢者も参加するよう、積極的に取り組む他、健康維持と介護予防のために健康ダンスも行っている。
加えて、個別援助として、見守り、声かけ訪問活動なども行っている。
在宅福祉サービスは、住民の自発的活動として始まったが、今日ではその数も増加し、タイプも多様化している。
全国社会福祉協議会による分類では、住民参加型、社会福祉協議会運営型、生協や農協による協同組合型、第三セクターが運営、実施する行政関与型、福祉施設を活用する施設運営型などがある。
とはいえ、住民参加型にはサービスを供給すると同時に、ニーズや実態を客観化し、地方自治体に提言、関係諸機関との連携や、参加の機会を一般住民に開放する方法の開発など、住民主体の活動に対する今後の期待は大きい。
(※この住民参加型が、地域の人たちが自主的に運営するコミュニティで、町内会の延長のようなものと言えます)
住民の主体形成、住民参加の推進を行う重要な要素として、ボランティア活動がある。
ボランティアとは、自発的意思に基づき社会活動を行う人の事である。
ボランティア団体が法人格をもったNPOは、NPO法により、その監視・監督は情報公開に基づいて市民が行う。つまり、ボランティアやNPOを育てるのは市民社会なのである。
今後は市民が地域社会のニーズに対してボランティア活動し、自発的に団体を組織して、地域社会のニーズに応えていくといった解決能力が重要になるであろう。
地域のボランティア活動や福祉教育の推進などを目的とする社会福祉協議会は、社会福祉法により地域福祉推進の中核としての役割が明確化されており、地域福祉型福祉サービス、地域福祉権利擁護、介護予防活動普及など、全般的な福祉業務を行い、重責を担っているのである。
私見として・・・
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