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ソーシャルワークの価値と倫理(社会福祉援助技術レポート)

 ソーシャルワークにおける価値と倫理、原理、原則について、2007年6月に書いたレポートの一部を抜粋し、加筆したものを掲載します。

テキストは中央法規出版の『社会福祉援助技術論1』です。

新版 社会福祉士養成講座〈8〉社会福祉援助技術論1

新版 社会福祉士養成講座〈8〉社会福祉援助技術論1

 

 ソーシャルワーカーが援助を行う際、指針とすべき専門職の価値と倫理がある。人間の尊厳、社会正義などの専門職の価値と、そこから導かれる倫理原則である。こうした専門職の価値と倫理は、倫理綱領として明文化されている。

倫理綱領には、「人間は生まれながらに平等であること、またかけがえのない存在であること、一人ひとり違った素晴らしさと可能性を秘めている」、「偏見や差別をなくし、常に社会や組織、人々が公正であるよう働きかけるべきである」などの指針が盛り込まれている。
このような価値を根底におき、ソーシャルワーカーは、社会正義を実現し、あらゆる者の人権尊重と自己実現、特に弱者の権利を擁護する。
すなわち、ソーシャルワークの価値とは、ソーシャルワーカーが時代に関係なく求め続けてきた、人間観と社会観を集約したものである。

 

 ソーシャルワークを行うにあたって、上記のようなことが求められる背景には、競争社会による弊害があります。
現代の競争社会は、強者が弱者の権利を侵害するという不正義で満ちあれています。
多数決、多数派が正義とされれば、少数派や競争すらできない人の自己実現はありません。
ですので、ソーシャルワーカーは、社会正義の実現のため、競争社会で「強者」になれなかった人たちの権利を擁護し、それぞれがもっている可能性を実現できるよう働きかけることを使命としているのです。
それが専門職として、ソーシャルワーカーが自身の根底におかなければならない価値です。

 

社会福祉援助技術論1-1】

 ソーシャルワーカーが援助を行う際、指針とすべき専門職の価値と倫理がある。人間の尊厳、社会正義などの専門職の価値と、そこから導かれる倫理原則である。こうした専門職の価値と倫理は、倫理綱領として明文化されている。

 

 ソーシャルワーカーは利用者の評価に際して、人間がもつ状況的な違いは個性や境遇であり、決して優劣ではない事、さらに、人間は生来、平等でかけがえのない存在ある事を強く確信し、同時に、人間は平等でかけがえのない存在でありながらも、違った個性と多様性をもっている事を認識する必要がある。それは、文化的違いと多様性を尊ぶ事であり、様々な利用者に同じ熱意で援助を行うべきである。加えて、利用者の利益を最優先に考えるという倫理観に立ち、自分や同僚の援助を点検し、必要であれば厳しく戒め合うべきであり、その繰り返しが専門職としての評価を高めるのである。

 

 次に、社会福祉援助技術において、援助関係を取り結ぶ際に活用しなければならない原理、原則がある。この場合の原理とは、援助技術を展開する際に基礎となる本質的な概念であり、原則とは、原理から導き出され、援助関係において適用可能な共通の法則である。よって、原理は原則の上位概念であり、一次的原理、二次的原理、三次的原理からなる。

 

 一次的原理は、専門的援助関係の基本原理であり、人間の尊厳・個人の尊重重視の原理である。二次的原理は、専門的援助関係の価値原理であり、個別化の原理、主体性尊重の原理、変化の可能性の原理の3つから構成される。三次的原理は、専門的援助関係をさらに具体化したもので、専門的援助関係の展開原理である。

 

 以上の原理はいくつかの原則が構成要素となっており、バイスティックの7原則も含まれる。原則には予定調和的原則、選択意思の尊重の原則、自立性尊重の原則、自己決定の原則、受容の原則、非審判的態度の原則、統制された情緒関与の原則、秘密保持の原則、参加の原則、意識化の原則、社会福祉援助システム開発の原則、社会福祉援助システム維持・強化の原則、社会福祉援助システムと関連システムの連携・調整の原則などがある。

 

 ソーシャルワークの専門性を構成する重要な要素として、専門職の価値と倫理、専門的知識、専門的技術の3つが挙げられる。専門職の価値と倫理とは、目には見えにくいが、非常に重要な働きをし、ソーシャルワーカーが行動するための動機づけ、活力、方向性を与えてくれるものである。これがなければ、非人道的、非福祉的なものに負けてしまうであろう。専門的知識とは、一般知識と同様、積み重ねるものであり、専門職としての学術的な強さと信頼性が生まれる源である。専門的技術とは、積み重ねた知識から生まれる様々な固有の技術である。この3つがバランスよく保たれているとき、ソーシャルワーカーは成長し、多くの問題から社会や人々を守る働きをするのである。ソーシャルワークにおける倫理、原理、原則と、専門性との関係は密接であり、不可欠である。

 

 社会福祉の専門的な援助過程は、一定の方式、手法に従って進められるが、その基本となるものは利用者と援助者の専門的な人間関係である。これを機軸に、個人と環境との関係に関わりをもちながら、様々な技術、技能を活用しつつ、援助過程が展開される事になる。そのためには面接法と観察法を習熟しなければならない。利用者と最初から本格的な人間関係が形成される事はなく、面談の回数を重ねていくうちにラポールと呼ばれる信頼関係が深まっていき、意思疎通や情報交換が円滑に行われるようになっていくのである。

 

 私見として・・・

 

レポート原文1579字

 

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